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天使と悪魔

書店ではだいぶダヴィンチコード関連の本が積まれ映画公開を前に盛り上がりを見せている。
私はダヴィンチコードでダンブラウンを知り、すっかりはまってしまった。
同じシリーズの天使と悪魔も読んだ。
こちらがシリーズ第一作だ。
展開はダヴィンチコードとほとんど同じ。

そう、『すべては事実に基づいている』という記述で始まる。

まず、重要人物が殺害され睡眠中のラングドンが叩き起こされる。
そして彼の研究対象である秘密結社の暗躍。
イルミナティという科学者の秘密結社でダヴィンチコードのシオンよりも
明らかにその存在そのもが怪しい。
(『天使と悪魔の真実』もチェックしたがこれはダンブラウンの話の種を
専門家のインタビューを通じて知ることができて面白い。)
イルミナティのシンボルは非常に良くデザインされている。
これはデザイナーに依頼したものだが反対側から見ても同じデザインで
Fire、Air、Water、Earth などの言葉が登場する。
これこそがイルミナティの英知の一つの証となっている。
このデザインだけでも見る価値有り。

事件の直前に死亡したローマ法王に変わる新法王の選挙の重要な候補者が行方不明になる。
ダヴィンチコード同様に4行詩が暗号を解く鍵となり、誘拐された候補者の殺害が予告される。
ラングドンは暗号を解き候補者を救出するために奔走する。
当然、ヒロインも登場し、ダヴィンチコードと同様の展開になる。
結末は?で拍子抜けするが物語のクライマックスで
登場人物を通して語られるダンブラウンの主張は哲学的で興味深い。
科学の限界とカトリックの限界。
人間の魂はどうすれば救われるか。
この点はダヴィンチコードでは見られない点で物語の深さはこっちが上だろう。
劇的な展開はダヴィンチコードより映画向きだと思う。
この話は24時間で完結するのでダヴィンチコードとあわせて
人気の「24」シリーズでやりたいという交渉もあったようだ。
それを断ったのは正しいだろう。
こちらの方がエンターテインメントとして上手くできている。
ただし結末はねた切れという感じで無理があるが。
ダヴィンチコードが興行的に上手くいけばこちらも映画化されそうだ。

話の深さでは「薔薇の名前」には及ばないと思うが、
カトリックに対する考え方はダヴィンチコードよりこちらの方が深みがあり頷きやすい。

ダンブラウンの『すべては事実に基づいている』という記述はどこまでが真実かというより、
事実をもとに大きく膨らませたフィクションと捕らえるべき。
by bonejive | 2006-04-19 10:20 | ダヴィンチコード
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