2006年 04月 29日 ( 1 )

National Geographic~ユダの福音書を追う~

ついに発売された。「ユダの福音書を追う」National Geographic 5月号。
あわせてケーブルテレビNational Geographic ChannelでSecret Bible 3days
という特集番組が企画され、今夜第一夜、「ユダの福音書」が放映された。

ダヴィンチコードの映画公開にあわせた相乗効果狙いとも思われるタイミングだが偶然と考えよう。

National Geographic 5月号
表紙はエジプトで発見された「ユダの福音書」の写真。
パピルスにコプト語で文章が綴らている。
ページをめくっていくとぼろぼろに砕けパズルと化した文書の塊の写真が続く。
この話題に興味のある人ならそれこそが「ユダの福音書」だとすぐに理解するだろう。

パピルスは薄い木の板のようで、そこにタンニン酸鉄インキで綴られた文字は
1700年前のものとは考えられないほど美しい。
更にページを進めると紀元1年からはじまる福音書の紛失と発見の歴史が観やすい年表あり。
1970年代に発見された当時、これをみた学者はすぐにこれがユダの福音書と気づき、
ナグハマディ文書との共通点が多いことがわかったようだ。
売買にてこずる間に盗難にあったり、銀行の貸し金庫に17年近く置き去りにされ
保存状態は劣悪だったようだ。
グノーシス派とされ古くから厳しい立場におかれた一派の福音書のようだ。
炭素法による年代測定でも1700年前のものとのお墨付きを受けている。
十分古いがそれでも異端などと決め付ける人々も多いようだ。

ユダこそが12使徒の中でもっともキリストの教えを深く理解したために
汚名をきることになり、自ら命を絶ったユダ。
ローマにキリストを売り、磔刑にかけさせた男。
しかし、キリストは磔刑にかけられたことにより肉体と魂に分離に成功したということらしい。
キリストが磔刑により肉体を捨て神になったと考えることもあるようだ。
これがユダの福音書の衝撃。

ユダヤ教の一派であったはずのキリスト教は他の部族、民族に浸透し現ヨーロッパの形成に
大きな影響をもたらしたが、当初は正統派とされた一部のキリスト教の宗派にすぎなかった。
しかし、ユダヤ人だけでなく他の民族、部族にも平等に神の恵みがあることを説くキリスト教は
ユダヤ人にとって都合がよいものではなかったらしい。

さてTVの方はこの内容を再現ドラマ仕立てでイエスとユダの二人を描き、
専門家のコメントを多用して背景や、ユダの福音書の位置づけ、解釈を述べていた。
キリストとユダの再現ドラマをのぞけばNational Geographicの内容と大きな差はなかった。
テレビも本も発見から解読にいたるまでの紆余曲折を描くのに半分以上を費やしており、
肝心の「ユダの福音書」の中身はここで記述した程度の描写しかなかった。
これから出版されるであろう全訳を待つしかないらしい。

キリストが磔刑によって肉体を犠牲にすることで魂が分離できた。
これをユダの裏切りという形で実現させ、ユダ自身も将来汚名をきることになることを覚悟していた。
キリスト教を信じることは無罪であり、信仰が魂を救済するという考えはカトリックの黎明期には邪魔な考えかただったようだ。このことをドラマの中で重要な話として挿入していた。
弾圧を受けていたローマで国教となるまでにはかなりの紆余曲折があったのだろう。

2000年の時を経てユダの汚名は晴れたと言ってよいのだろうか。
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by bonejive | 2006-04-29 00:29